ロサンゼルスで不妊治療・卵子提供エージェンシーの体験記                        
                                              自分自身も不妊で悩み、代理出産という道を選択、女児を授かりました。    
家に帰り早速弁護士の連絡先を探し、電話をしてみた。
この分野専門の弁護士ということだった。




以前私は某弁護士事務所で働いていたが、
そのときには、こういう分野を専門としている弁護士
いることさえ知らなかった。
レアなのである。
色々とこの業界のことを知った今では
やはりカリフォルニアには他州に比べ
この専門分野の弁護士は多いということが
わかった。
それだけニーズが多いということだ。
シングル、同性愛者、異性愛者どの人たちが
受け入れられやすいのがカリフォルニア州だという。




アシスタントにメッセージを残しておいたら、ラッキーなことにすぐ
電話がかかってきた。
ん、何かうまくいく予感。





代理出産の契約書を作って欲しいのですが」
「そうしたら、まずリテイナー契約書にサインをして
リテイナーのチェックと一緒に送付して下さい」




リテイナー契約書というのは、代理出産契約書作成に関して
この弁護士を雇いますという、弁護士と依頼者の関係を
記した契約内容で、リテイナーというのは、弁護士費用のこと。
つまりこの場合契約書を作成してもらう費用なのだ。





その二つがあちらに到着してから、初めて弁護士
契約書作成を開始できる。
メールではすぐに当事者の情報などを書く用紙を送るので
それをうめて返送するようにとのこと。




だんなさんの夕食も後回し。
これを最優先させた。




弁護士費用を払うためにチェック(小切手)
を切っている私。
「高いなあ・・」とつぶやく。
「これってビバリーヒルズの弁護士だから?」
とも思ったが、今更、この分野を専門としている
弁護士を他に探す気持ちの余裕がなかった。
他に聞く人もいなかった。





とりあえず、ドクターが紹介してくれたところだから
経験はあるはずだし、まあいいかという気持ちだった。
それよりも早く進めてくれる弁護士が良かった。




リテイナーが弁護士のところへ届き、1週間後
契約書のドラフトが送られてきた。
ページ数にして約20ページ。
ぎょっぎょっ!こんな多いんだ。
とっさに安易ではないことを察した。
私の場合、卵子が相当頑張ってくれない限り、
一度の体外受精で成功するかどうか・・・。
私は少しでもお金をセーブしようと、
けちってこの安いヨーロッパブランドの
薬を取り寄せることにした。





「ヨーロッパの人はこれで不妊治療してるんだし」
「成功している人もいるんだし」
なんて自分にいいきかせたりなんかして。





今から考えれば、何故かそのときは
薬の安いものを買うということに対して
こわさとかいうものがなかった。
その後は結局薬が足りなくなったので
追加注文を2度もすることになった。





そのたびに大きなお金が飛んでいくので
やはりセーブできたことはうれしかった。





ここで注意書きですが・・・
今はエージェンシーとしては、お客様には
ドクター経由の薬やさんで直接購入をして
頂いていますので、ご安心下さい。(念のため)





そして医療検査も無事終わった頃、ドクターが
「弁護士とは契約書について話をしましたか」
と聞いてきた。
「え?まだですが」
「まだ話していないの?」
「僕は弁護士からのリリースレターがないと
薬始められないんだよ、だからこの前の人に
至急連絡を取りなさい」
「え〜、そんな〜。もっとあとでいいと思っていました」
勝手にそう思ってただけだ。





リリースレターというのは、弁護士が代理出産について
当事者(依頼者夫婦と代理母夫婦)すべてが
契約に同意してサインをしたことを確認した後、
ドクターあてに出す手紙で投薬を開始しても
よいという許可を出すのだ。






「ドクター、リマインドしてくれたら良かったのに〜!」
と思ったが、そんなこといえない。
ドクターはエージェントでないので、そんな一から十まで
お膳立てはしてくれない。
ま、弁護士の情報はくれていたわけなんで
私がタイミングを知らなかっただけ。





もうすぐ薬も届くし、「いよいよだ!」との意気込みも
つかのま一気に逆戻りの気分である。

―続く―
代理母の初診が終わり、次の週に私の生理が始まった。




2日目に血液検査へ。
バースコントロールピルも購入し次の日から開始。
代理母は彼女の家の近くの紹介されたドクターへ行って
そこで血液検査。
私は生理開始日から16日目に超音波検診。





私達の体が体外受精代理出産に適しているかの
スクリーニング段階である。




私の方はともかく、代理母は貧血気味で過去の妊娠では
注意が必要とされていたので心配である。




そして医療費はこれからいくらかかるんだろう。
私の保険はある程度のところまではカバーするらしい。
血液検査や定期的に受ける婦人科系の検査などは
払ってくれるらしい。




それにしても体外受精のおは高いものである。
ドクターの奥さんが受付で、
1.ドクター経由で局でオーダーして買う方法。
2.オンラインでヨーロッパブランドのを取り寄せる
方法。
があるとおしえてくれた。
2のほうが安いそうだ。




たくさんの患者さんが体外受精の治療にお金がかかるので
このヨーロッパブランドのを取り寄せているよと
言っていた。
チョイスは私にあってどちらを選んでもいいというのだ。





「安い=質が悪いのか?」との質問にドクターは
「今まで何人もの人が使っていたけど、妊娠に至った人はいるし
だめだという根拠があるデータは今のところはないよ。」
という。




家に帰りちょっとサイトをみて調べようと思った。
IVFのお薬が安く買える
の名前などはアメリカの局で売っているものと一緒で
「Licensed European Pharmacy」
(ライセンスを持ったヨーロッパの局)
を通じて来るそうだ。




電話をしてみたら、とても親切にオーダーの仕方
など教えてくれた。
「うーん、どうしようかな・・」

―続く―

私の代理母(妹)が私のドクターに会う日がやってきた。
「一度会いたいので来て下さい」
と言われたので、仕事のスケジュールを調整して来てくれた。



二人の子供に「なんで、りこの所行くの?」と質問されたので
「お仕事があっちであるから、その帰りに寄るのよ」と
言ってあるそうだ。
これから毎回この手を使うことになるのだろうか。




ドクターが医療的な代理出産のステップをを説明してくれた。
基本的には私達夫婦二人の卵子精子を体外受精させ、
その受精卵を妹の子宮へ移植するというもの。
過去にやった代理出産のケースを色々と話してくれた。




私の卵子を大きく成長させている間に、彼女の子宮内膜を
厚くするよう彼女も薬を投与する。




私の卵子だけが大きく成熟しすぎてもいけないし、彼女の子宮内膜が
厚くなる前に受精卵を移植することもできないのだ。




だから、絶妙のタイミングこそが重要である。




いい受精卵ができることが前提となる。
それができなければ妹の子宮がいくら準備万端といっても
無駄な努力となるわけだ。
私の卵子の年齢を考えると1分、1秒も無駄にはできない。




彼女の住んでいるところからはここは遠いので、通うのは無理であり
ドクターが妹の担当ドクターとコーデイネートしてやっていくという。
どこも不妊専門のドクターを知らないので、どこにいったらいいのか
わからないというと、前に一緒にケースをやったというドクターのクリニックを
紹介してくれた。





妹に対して問診があり子供のこと、主人のこと、病歴、健康状態色々なことを
聞かれた。
代理母の年齢というのは39歳でも遅くないという。
子宮は卵子に比べると老化が遅いらしい。




今になってから日本でも娘に代わって、お母さんが代理出産したとかよく
ニュースで聞くが、アメリカではよくあったようで、私達がドクターに
その話を聞いたときにはやっぱり衝撃的だった。




でも、50、60代のお母さんがお腹が大きくなって妊婦になるなんて
リスクもそうだけれど、世間の目とかそういったことを気にするだろうな
と思ったものだ。
でも”母は強し”。
わが娘のために覚悟はできている。
素晴らしい愛である。




もちろん妹の代理母としての心構えなどは大事なのだが
やはりリスクとしては、双子三つ子などの多胎になることだ。
いくつの受精卵を子宮に移植するかは、今決める必要はないが
よく考えるように言われた。





この辺は私達夫婦と、妹夫婦とで良く話合わないといけない点である。





今日はとりあえずウルトラサウンドで妹の子宮、卵巣の状態を診てくれた。
良好とのこと。





後日、妹は血液検査を自宅近くのラボに行きそこで受けるよう
指示がでた。
彼女の主人も一緒に受ける。
私達の生理の時期をコントロールするためのバースコントロールピル
も処方してもらった。




体外受精なんて人事と思っていた。
いざ、やろうと思うと大変なんだなと思った。
本人の子宮に戻す体外受精であれば
もっとシンプルなんだろうが。





「いよいよこれからだね」
「なんか体外受精さえ初めてだから、精子と受精できるのかとか
ノーマルは受精卵が本当にできるのかとか、心配だなあ・・・
それがうまくいかなかったら、こんな代理出産って話もおじゃんになるんだね」
「そうだよ。それに受精卵も卵子の質がわるければ、着床できなかったり
するらしいよ。」





「そんなに頻繁にここに来なくていいみたいで良かったね」
「ドクターは移植のちょっと前でいいって言っていたよね」
「でも移植のあとはちょっと寝てないといけないし、すぐ飛行機にのって
帰れるのかなあ」
「1週間くらい休みとらないといけないかもね」
「休みはばっちりあるから大丈夫!」
「ねえ、会社には言うの?」
「言うよ、ボスには。きっと注射とかは病院で打ってもらうと思うし
頻繁に抜けなくてはいけなくなるから」
理解してくれるボスであることを願う。




いよいよ私も不妊からの脱出!かあ。
初診が終わっただけなのに、すごい1歩を踏んだような気に
なっていた。

―続く―
私にとっては、未知で大変な体外受精代理出産
プロジェクトが目の前にあり、不安でいっぱい。



が、しかし、それよりも何よりも
大きな「家を売る」プロジェクトまで私に
任せる主人のことを、私はストレスに感じていた。



私はその頃、会社勤めをしていたわけではなく
自分で不動産のエージェントをしていたので
時間的には融通がきくのだった。



だからって〜!もーう!
何でも私が出来ると思っている。



なんでもどうにかなるさ的考えで、
彼はいつでも私に「やっといて」と
軽々しく言うのだ。



「家を売るプロジェクトだけどさ、今すぐに売らないとだめ?
テナントもいるし、追い出してからきれいにしたりしてそこから
売りに出して・・・なかなか長期戦になるから」
彼に切り出した。
「まあ、今すぐに大きなお金がかかるわけじゃないんだろう」
「うん、ステップを踏むごととにかかるらしいよ」
「じゃあ、とりあえず今あるお金でどうにかなるよ」
「今すぐに売らなくてもいいのね?」
「なんとかなるよ」
「今すぐ、っていうのと、少々時間かかってもいいっていうのと
全然こちらのストレスが違うんだけど。」
「そう?」
「そうだよ、だって毎日毎日不動産やさんや、管理会社に
電話してフォローアップするだけで、私疲れちゃう
頼んでおしまいじゃないんだからね」
「あっそう?」
この返事、ずっこけるのである。
この重みのない返事。



自分の中で、色々な気持ちが入り乱れていた。
1.これからの代理出産への不安
(すべてうまくいくのか?)
2.時間的あせり
(早くしないと私の卵子がもっと年をとってしまう!)
3.家を売ることの未練
4.家が売れるまでのストレス



だからちょっといらいらしていた。



しばらく無言だった彼はこう言った。
「神様が俺たちに”これを売ってあなたたちの夢に賭けなさい”
といっているような気がする。
こういうものに使うのだったら、俺は何も惜しまないよ」




そうか。あの時は不妊で悩むなんて夢にも思わなかった。
清水の舞台から飛び降りる思いをして買ったものが
今、こういう形で私達の夢をかなえてくれるかもしれないのか。
これがなければ、私達の代理出産という選択肢も
消えていたのである。
人生とは何が起こるかわからないものである。




そんなわけで、緊急事態で家を売る必要がなく
「そのうち売れればいい」というちょっぴりのんびりモード
に入ったお陰で、私の気持ちはずいぶん楽になった。

―続く―

プロフィール

Miracle Baby

Author:Miracle Baby
サイトをご覧になってください。http://miraclebaby.us

アメリカ在住16年 ロサンゼルスで卵子提供のエージェンシーをしています。自分自身も不妊で悩み、代理出産という道を選択、女児を授かりました。「こんな私でもこんな難しいことが出来た」のです。

私の不妊治療ー代理出産体験談と、今の仕事を始めたきっかけをお話しています。 2月1日、8日と2週に分けお話しています。 ネット放送で聞くことが出来ます。

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